重量・価格・性能アップで過去最高のポメラ
「pomera(ポメラ) DM200」は究極のミニマルデザイン、最高のキーボードとソフトウェアを備えたテキスト入力専用端末。2016年10月21日に新発売、発売当日の購入レビューです。
pomera(ポメラ) DM200概要
「pomera(ポメラ) DM200」は今どきインターネットに非対応、アプリやゲームが動くわけでもなく、なつかしい白黒液晶でしかも高価。
それでもプロの記者やライター、作家、ブロガー等に愛用される「持ち運べるワープロ」です。
価格
定価は49,800円(税抜)です。旧pomera DM100の36,000円から大幅アップ。
開封。同梱品はUSBアダプタとケーブル、説明書、液晶保護シートがわりに親指シフトユーザー向けのシールが挟まれていました。
pomera DM200の新機能と改善点
ポメラDM200は変換性能の向上と液晶の大型化で、399gから580gに重量増。 ATOKの変換性能をあげるために高性能なCPUを採用した結果、大型バッテリーの搭載が必要になったそうです。
WiFiに対応して作成した文書の同期が容易になっています。
バッテリーの詳細
ポメラDM200のバッテリーの持続時間は従来の25~30時間から約18時間と短くなりましたが、単3乾電池から充電式のリチウムイオンバッテリーに変わったことでスマホ用のモバイルバッテリーで充電できるようになりました。
バッテリー容量は不明ですが、写真のAnker PowerCore 10000mAhが1回の充電で半分減ります。 「iPhone 6sに約4回、タブレットに1回以上充電」可能なバッテリーなので、スマホとタブレットの中間くらいの大きさと思われます。
充電にかかる時間は5時間と長め。ミニマルデザインの影響で電源インジケーターはついておらず、バッテリー残量はスマホのように画面で確認します。
変換性能
ポメラDM200はATOKがATOK Professionalに進化しました。もはやPCで書くよりも快適かもしれません。 変換性能が悪すぎて使わなくなってしまったiPhoneのATOK Padとは比較対象にもなりません。
キーボードの打鍵感
ポメラDM200はディスプレイ下部がスタンドがわりになる、VAIOノートパソコンのような構造をしています。
キーボードに傾斜がつく反面すこし浮いてしまいますが、重量増の副作用で剛性もアップしています。 17mm(タテ15.5mm)のキーピッチ以上に快適に感じる、虜にされること請け合いの完璧な打ち心地です。
記号キーや矢印キーなど、すべてのキーの大きさがある程度均一なのも快適さに大きく寄与しています。 人によってはSurfaceタイプカバーやMacbookより気持ち良いかもしれません。
液晶・画面
ポメラDM200で少し残念なのは液晶が電子辞書などに使われる目にやさしいモノクロ液晶ではなく、スマホ・パソコンで使われるバックライト式のTFT液晶に変わったことです。 暗いところではまぶしく感じますが、逆に言えば暗いところでも使えます。
設定で「白黒反転」すると黒背景で目に優しくなります。
明るさはデフォルトのキー設定でF9で変えられます。 キー設定は変更可能です。
フォントサイズ、行番号、罫線(グリッド)の表示も細かく設定でき、縦書き原稿用紙スタイルも用意されています。
フォントもモリサワのリュウミンゴシック・明朝体が内蔵されUnicodeにも対応しました。
アウトライン機能
ポメラDM200は液晶が大型化しただけでなく、アウトライン機能に対応して長い文章も見渡せるようになりました。 長編小説も書けますね。
Ctrl、Alt矢印で章間・見出し間で移動したり動かしたりできます。 画面を分割して比較したりもできます。
エンジニアなら見出し文字はMarkdown形式の#(シャープ)に変えたいところですが非対応。.(ピリオド)のみ対応で設定変更はできません。
【Ver1.3追記】ファームウェアのアップデートで、Markdownの見出し文字#(シャープ)に対応しました。
縦書き時も見出しは左側に表示されます。
【Ver1.3新機能】Markdown形式の見出し文字に対応
ポメラDM200のバージョン1.3アップデートで#(シャープ)も見出し文字に対応しました。アップデート方法については公式サイトをご覧ください。
www.kingjim.co.jp
無線WiFiネットワーク・クラウド対応
旧ポメラのBletooth転送機能に代わり、ポメラDM200は無線ネットワークに対応。GmailなどのメールやiPhoneのiCloud「メモ」アプリ、Evernoteを通してパソコンやスマホに文書を転送できるようになりました。
ポメラDM200で作成した文書をメールでPC・スマホへ送れます。 逆のポメラ側にはメール受信機能はありませんが、新機能「ポメラSync」でPC・スマホからも簡単に文章を送れます。
Webブラウザを搭載していないので、ログインができない公共無線LANはつかえないところが多そうです。
ネットワーク機能については別記事でさらに高度な使い方を紹介しています。 matagotch.hatenablog.com http://matagotch.hatenablog.com/entry/pomera-dm200-post-blogmatagotch.hatenablog.com matagotch.hatenablog.com
新機能「ポメラSync」とは?
ポメラDM200ではGmailやiOS・MacOSの「メモ」アプリと、ポメラ間で文書を共有できる新機能がつきました。
同期は手動で1回につき30秒ほどかかりますが、メニューやショートカットキーから一発で呼び出せるので使い勝手は良好です。実際この記事はポメラとiPhone、Macbookを行ったり来たりしながら仕上げました。
賛否が分かれる手動での同期ですが、Kindleでもバッテリ節約のため、電子書籍をダウンロードするときだけWiFiをONにしている自分としては「賛」の評価です。ただし接続先の確認ダイアログを一度挟むのは省いて欲しかったな、と思います。
設定方法
「pomera_sync」フォルダ内の文書しか同期されません。
ポメラDM200側で共有したい文書を「pomera_sync」フォルダに移して、メニュー「ツール>ポメラSync」から同期します。
うまくいけばGmailの「Notes > pomera_sync」から共有文書が確認できるはずですが、いちどブラウザでGmail側の「安全性の低いアプリ」設定をオンにしないと同期できないようです。
iPhone・iPadで同期する場合は設定アプリの「メモ > アカウント」にGmailを追加、メモの同期をチェックします。
成功すればメモアプリの「Google > pomera_sync」フォルダにメモが表示されます。
使い方のコツと同期できないときの対処法
PC・スマホからポメラDM200への転送にはちょっとしたルールをおぼえる必要があります。
詳しい説明がないのでトライ&エラーで解析したところ
- ポメラDM200のファイルにあってiPhoneのメモにないものはiPhoneのメモにも保存される
- iPhoneのメモにあってポメラのファイルにないものはポメラDM200のファイルにも保存される
別々に編集された同名のファイルとメモがあった場合は同期されない(すみません…誤りでした)- 同名のファイル・メモがあった場合は新しい方に上書きされたり、されなかったりする
という仕様になっているようで、iPhoneのメモと同期する場合は
- メモアプリで編集した場合、本文の1行目がタイトルになるのでファイル名が変わる
- メモのタイトルが長いとポメラDM200でファイル名が切れて別のファイルが作られる
- メモのタイトルにファイル名で使用できない文字があると切れる
- ポメラDM200で編集中のファイルは更新されない(気がする)
などの例外が多く、デフォルトの設定だと改行も崩れるのでメモアプリ側で編集するとロクなことにはなりません。 ちゃんと文書を同期したいならこんな感じのルールを考える必要がありそうです。
- 古い方・不要なファイルは削除する
- メモの一行目=ファイル名。短めで記号や空白は入れない
- もしくはメモアプリ側は閲覧用で編集しないと心に誓う
知らないファイルができてしまったら同期する前に全端末から消しましょう。
.(ピリオド)から始まる謎のメモが消せない場合
同期するたびに削除できないメモが同期されるのは、ポメラ側のストレージにピリオドで始まるファイルが残っているからです。
ピリオドがポメラの見出し文字なので間違えて作りやすく、困ったことにMacOSではピリオドから始まるファイルは不可視になっています。知識がある方ならターミナルから削除するか、そうでなければいったんフォルダを作り直す必要があります。
USB、QRコード、SDカードによる転送
ネットワークを使わない従来の方式でもファイルを転送できます。
単純にフタを閉じた状態でパソコンにUSBケーブルをつなげると充電がはじまるだけなので、パソコンにUSBでデータ転送するにはポメラを起動して「PCリンク」を押す必要があります。
SDカードもUSB経由で読み込めるのでメモリカードリーダーは不要です。
辞書
「明鏡国語辞典MX」「ジーニアス英和辞典・和英辞典」に加えて「角川類語新辞典」を新たに搭載。
キーボードショートカットで簡単に起動できます。
日記に使えるカレンダーのメモ機能
メモ機能付きカレンダーです。電源を入れた直後の初期画面に表示するように設定できますが、通知機能がないのでスケジュール帳としては微妙です。
日付別にわかれたメモファイルはUSB経由でPCに書き出せるので日記をつけるのに良さそうです。
Bluetoothでスマホのキーボードにもなります
Bluetoothでスマホと接続できます。
接続に数十秒かかりますが、繋がるとポメラの画面が自動消灯、パネルを閉じるとBluetooth接続も自動切断されるという考えられた設計になっています。
iPhoneの場合、「無変換」は「英数」に、「前候補・変換」は「かな」キーに正しく割り当てられます。 ただし英語キーボードとして認識されるので、記号はキートップの印字と違うキーが入力されます。
わりとBluetoothキーボードのコレクターですが、Pomera DM200を超えるモバイルキーボードには合ったことがありません。 クラウドでスマホへ転送後、スマホ上で修正するときに便利そうです。
比較
ポメラDM200とDM100の比較
[出展:キングジム公式サイト]
旧モデルのDM100が出たとき、液晶周りのデザインが好きじゃなくて購入を見送りました。 DM200は液晶の大型化と重量増によりデザイン、ハードウェアとソフトウェアが改善されています。
旧モデルであれば中古で1万円台から手に入りますが思いますが、価格を考慮してもDM200をおすすめします。
スマホ+Bluetoothキーボードと比較
580gのポメラを持ち歩くくらいなら、200g前後のフルサイズキーボードで良いのでは?と思っていたんですが、もはやモバイルキーボードも比較対象になりません。 ソフトウェアも改善されているので、iPhoneとフルサイズキーボードの組み合わせよりも快適。 膝上でも安定します。
まとめ
値段は高い?安い?
「ほしいけど高すぎる」との評判が目立つポメラDM200ですが競合製品が存在しないので高いとは断言できません。
プロの仕事道具であること、(DM100からDM200の発表まで4年)製品サイクルの長さを考慮すると安いくらいです。 電子辞書もついています。
ポメラDM200はどんな人におすすめ?
プロのライターやブロガー、小説家はもちろん小説志望の方。 辞書も入っていてお得なので学生にもおすすめの逸品です。
「デジタルデトックス」「マインドフルネス」「ミニマリスト」など自己啓発が大好きなビジネスマンの嗜好品としていい感じです。
ポメラとKindleだけを手に週末旅行に出かけたり、隙間時間にカフェで趣味の執筆を行う社会人の究極の贅沢品です。
ポメラDM200は”究極の執筆環境”
従来、持ち歩き用執筆環境として人気だったポメラの書き心地はあくまで携帯性とトレードオフでした。
今回、入力環境がソフト・ハード共に劇的に改善されたことにより、長文は「パソコンではなくポメラで書きたい!」と思わせる”究極の執筆環境”に進化しました。
購入前は懐疑的だったんですが、使って10分で大満足。 こだわり抜いたモノづくりにもはや感動さえおぼえます。 フルサイズのキーボード版が欲しいとか、ポメラと連動するブログサービスが欲しいとか…さわっていると夢想が尽きません。
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