『返校 Detention』は戒厳令下の台湾を舞台にした横スクロール型2Dアドベンチャーゲーム。緻密なストーリー、現代アートの域に達した独特のビジュアル表現。怖いだけでは終わらないホラーアドベンチャーゲームです。
ネタバレ防止のため、情報が少なめのレビュー記事になっています。なるべくストーリーに関係ない、割とどうでも良いスクリーンショットばかりを貼ったので、「つまらなさそう」という間違った印象を与えてしまったらスミマセン。個人的にはすごく大好きな作品で、屈指の名作アドベンチャーゲームと思っています。
ゲーム紹介
『返校 Detention』の舞台は、政治活動や言論の自由が制限され、相互監視社会の中で密告や投獄が横行していた戒厳令下の台湾(=「白色テロ」時代)。
スクリーンショットに見る「クロックタワー」的なサイドビューの2Dホラーアドベンチャーゲームをイメージしておくと、良い意味で裏切られると思います(笑)。 決して怖いだけでは終わらない、物語も映像表現も並外れた異色のホラーゲーム。
自分にとっては神ゲーでしたが、ホラーなので人は選びます。物語や映像表現に興味がなく、純粋なゲーム性だけを求める人にもおすすめしません。
プレイした感想
『返校』に関しては世間の評判も高く、とりあえず自分の言いたいことは全てTwitterに出し切ったんですが(笑)、一応、序盤の流れだけを簡単に説明してみます。 ネタバレを防ぐため、序盤1時間程度の触りの部分だけの紹介に留めます。繰り返しですが、ゲーム本編は本当に彩り豊かなゲームなので、当記事のスクリーンショットがすべてではありません。
『返校』の見た目はシンプルな横スクロール型の2Dアドベンチャーゲームです。移動範囲は広くはなく、道に迷う事はありません。「マップが狭い」という意味ではなく、進行に応じて次々と場面が切り替わる感じです。
操作方法も単純で、勇気さえあれば(一番重要)老若男女問わずプレイ可能な難易度。セーブポイントも頻繁にあり、高度なアクション操作は必要ないので、最悪の場合は攻略サイトを見れば誰でもクリアできます。
アイコンが出る部分でボタンを押すと、進行に必要なアイテムが拾えたり、物語を解く鍵となるメモが手に入ったりします。
物語はサスペンスの要素も強く、ゲーム内に散らばったメモや情報を集めて、何が起きたのかを明らかにして行きます。
場所によっては「アイテム探しゲーム」や「脱出ゲーム」に見られるようなポイント&クリック型の別画面に切り替わります。
カーソルを動かしてアイコン変わる部分でボタンを押すとアクションが起こせます。
パズルや謎解きも単純なお使い系ではなく、非常にバリエーション豊か。謎解きの難易度も程よく、クリアするまでに、解決に苦しんだところは2点だけでした。攻略サイトもあるので、長時間行き詰まったらサクッと参考にするのも良いと思います。
全体を通して隅々まで丁寧に作られていて、物語や演出、音響・映像表現、ゲームシステム、パズルが一体となって、高度なデジタル表現に成功しています。
『返校』の世界には一応、敵も出てきますが、殺されてもペナルティは無し。マルチエンディングの結果にも影響しません。強いて言えば「怖いだけ」。
敵の対応方法もただ剣で倒すとか、走って逃げるといったようなありきたりなものではありません。風習や迷信のようなものを上手に落とし込んだ、ゲームの雰囲気を盛り上げるのにふさわしい感じに仕上がっています。
序盤の演出はまだまだ小手先で、真の恐怖?はその先に待っています(意味深)。
序盤は物語の脈絡がわからず、「お化け屋敷的なショッキングなホラーゲームかな?」と思わせるのは、演出の妙。断片的な情報が合わさり、次第に物語が見えて行く過程が楽しいゲームです。
最近の大味な娯楽映画とかと比べると、ストーリーテリングの手法が繊細なので、軽く想像力を働かせないと物語が楽しめないかもしれません。
攻略【ネタバレ注意】
解くのが難しかった謎解き2点
自分が『返校』で解くのに苦労した謎解きは2点。 シンナーで魔除けを消すところ時計の針が写真の向きも考慮しないといけないところだけでした。
トゥルーエンドの条件
『返校』はマルチエンディングで、バッドエンドとトゥルーエンドの2種類あります。たとえ悪い方のエンディングを迎えたとしても、シナリオ選択で「第4章」から再スタートすればトゥルーエンドに辿り着けます。
バッドエンドとグッドエンドの分かれ目は、影との会話。正解の選択を選ぶと「あなたは、わたし」と言われます。4つの選択肢を正解すると、最後、屋上から降りる階段にアイテムが落ちています。より細かい回答については別の攻略サイトを御覧ください。
評価まとめ
スイッチの『返校』面白かった。戒厳令下の台湾で、今までに無かった世界観。ホラー基調のストーリーだけど繊細で、映像・演出が凝ってる。ゲームシステムは、時代背景や風習を上手に落とし込んであって、物語の雰囲気を壊さない。 #NintendoSwitch #返校
— matagotch (@matagotch) 2018年3月3日
『返校 Detention』は台湾の歴史や風俗、ゲーム、ホラーとサスペンス、音楽、音響、前衛アート的な表現手法といった複数の要素が絶妙に絡まりあっていて、ゲーム内容を表すレビュー記事のタイトルをつけるのにすごく悩みました。 「アーティスティックな〜」とか「歴史的傑作!」は大仰だし……世間体を鑑みて語呂の良い、控えめな表現を選びました。
このレビュー記事を書く前に、他の人の感想や評価も見てみたら、ネタバレが多くて辟易しました。『返校』は断片的な情報が合わさってく過程が楽しいのに、ゲームならネタバレはあまり気にしなくても良いんでしょうか……? しかし評判はめちゃくちゃ良く、絶賛する内容が大多数でした。『返校』気になったら先入観無しでとりあえずプレイしてみるのがおすすめです。
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