スイッチのサウンドノベルゲーム『Dear my Abyss(ディア・マイ・アビス)』のネタバレ無しプレイ感想レビュー記事です。
『Dear My Abyss』紹介
『Dear My Abyss』は主人公の3人の女子高生の元に、「燃やせない本」と1人の転校生がやってくることで始まる物語。ゲームと呼ぶには限りなく小説に近い、友情や心理サスペンス、オカルト、ミステリー、ホラー要素ありのノベルゲームです。
遊んでみた感想
自分は「ノベルゲーム」とか聞くと、"サウンドノベル"の『かまいたちの夜』シリーズしか思い浮かばないんですが、『Dear My Abyss』は『かまいたちの夜』みたいな複雑な分岐の短編のマルチストーリー・アドベンチャーゲームではなく、がっつり読ませるタイプの長編小説、といった感じです。
分岐が少なく、ノベルゲームというよりも、ボリュームたっぷりの長編小説。
『Dear My Abyss』は女子高生が主人公の、サスペンスとかホラー小説の部類で、「怪奇小説」の呼び方がいちばんしっくり来ます。アメリカのカルト的人気を誇るホラー作家「ラブクラフト」の創作物である「クトゥルー神話」をベースにした世界観。「アローン・イン・ザ・ダーク」や「クトゥルフの呼び声」など、昔は割りとゲームにされることが多かった題材です。
『Dear My Abyss』はゲームと呼ぶには分岐が少なく、限りなく小説に近いサウンドノベルです。
ノベルゲームなので、ゲームシステムは説明するところはありません。ずーっと続く長文を読むだけの内容なので、ゲームとしてはある意味すごく尖った作品。
そのぶん、読みやすさもある程度工夫されていて、Lボタンのオートモードで指の負担が減らせます。Bボタンでいつでもストップ、Yボタンからは今までの会話をいつでも遡れます。
オートモードやメッセージの表示速度はオプションで、好みの速度に変更できます。
自動のクイックセーブに加え、セーブスロットの多い普通のセーブもあるので、いくらでも"しおり"を挟める感じ。 自分はタブレットモードで遊んでたので、欲を言えばタッチ操作も対応して欲しかったところ(スマホゲームでも良かったような 笑)。
本当に長い話なので、自分はオプション設定でメッセージ速度を最速にして、オートーモードで寝る前や、運動中に再生して、どんな話なんだろう?とワクワクしながら物語の世界を毎晩、楽しませていただきました。
しかしそこはプレイして最初の1週間の印象。基本的に評判の良い作品なんですが、個人的な感想としてはとにかく「話が長い!」と感じました。
1行毎に表示が止まるので、紙の小説なら読み飛ばせるところも、ゲーム上ではスキップできないのが、おそらく、長く感じる一番の原因。文章量が多いので、一度にもっと表示してほしい…と思いました。
選んだ分岐とか、(女子高生に容易には感情移入できない)自分の性別や年齢も関係したかもしれません。とにかく、話の展開が遅いのが難点で、見せ場の少ないシーンが続く前半、最初の分岐に到達するまでに、「映画なら一本、見終わっているのではないか?」と思うほどの時間がかかります。プレイ時間は記録してなかったんですが、最初の1人分のシナリオを終えるまで、体感的には500ページの小説を読み終わるか、長編映画を4本観るくらいの体力を消費しました。
またその長めのストーリーが、別の登場人物の視点で語り直されるので、重複も多く、おそらくマルチエンディングのシナリオだと思うんですが、長すぎてログを遡って別の分岐を試す元気もなく、プレイ途中で断念。
繰り返しますが、ストーリーが長く感じたのは、あくまで個人の印象。ネットで調べたら、切ないストーリーに対する評価の高さ目立ちました。『Dear my Abyss』の世界観にハマれる人には、物語にどっぷり浸かる上でたまらない長さかもしれません。
クリアを断念したからといって、面白くなかった訳ではなく、「昔は小説が好きだったけど、最近まったく読まない」自分にとって、また小説に目を向ける、良いリハビリになったゲームでした。
評価まとめ
『Dear my Abyss』はゲームと呼ぶには限りなく小説に近く、(決してネガティブな意味ではなく)「小説に音と画像を追加しただけ演出で、飽きずに物語を楽しめるのだな〜」という発見がありました。
いつの間にかKindleでしか本を買わなくなっていたんですが、Kindleのプラットフォームは「紙」の枠にとらわれていて、音を出すなり動画を流すなり、本来、電子書籍の得意なはずの演出が行われていない。『Dear my Abyss』はそんなことも考えさせられた作品でした。
ただし記事中に繰り返したとおり、ストーリーの展開が遅くて長いのが難点。良く言えばボリュームは保証できます。
『Dear My Abyss』のプレイはひとまず中断しますが、毎晩、このゲームに捧げた時間は幸せでした。時間を気にせず、じっくりプレイするのがおすすめなゲーム。 ゲーム内の時間と同じ6〜7月あたりの夏休み向きのゲームかもしれません。
ラブクラフトの作品は現在でもマンガ化などマルチメディア的な動きもあって、人気は健在。遊び終わってもラブクラフトの小説や続きが楽しめ、クトゥルー神話入門の意味でもお得な作品です。
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